亀を殺したかと思った

2017.08.09 Wednesday

春から家で亀を飼っている。

 

クサガメという種類。
生まれて数か月の小さな子亀を4月に買ってきた。

 

名前は「のりちゃん」。

なんとなく飼いはじめた頃の手乗りのサイズの感じと、オスメス不明なので
どっちでもよさそうな名前として、家族みんなで決めた。

 

亀というのは、鳴いたりはしないが、とてもよく動き、見ていて飽きない。
餌をあげようとすると、すぐ察知して欲しがって暴れたりして、本当にかわいい。

家族みんなでかわいがっている。

 

毎日二回餌をあげ、水はすぐ汚れるので最低でも二日に一回は換えている。
大変な気もするが、かわいいのでそれほど負担に感じない。

 


8月のこと。

今日のこと。

子供が夏休みで妻と一緒に僕の実家に遊びに行っていた。
花火大会を見に行っていた。

僕は仕事があったので、ひとり留守番。
最近では家でひとりで過ごすことがほとんどないので、新鮮な気分だった。

 

帰りが夜遅いと亀の水槽の水換えは大変なので、朝早く起き、水を換えたりした。

亀を買った時に、売り場のお兄さんに、日光浴が大切と聞いていたので、
休みの日は、できるだけ窓際に置いたりしてあげていた。
特に飼いはじめた頃は4月で、まだ寒い日もあったので、積極的に日に当てるようにしていた。

今日も、その調子で窓際、カーテンと窓ガラスの間に水槽を置いて、仕事に向かった。

 

水槽の中の水はきれい。
餌やりもばっちり。

 

 


仕事は少し遅くなってしまった。

家に帰ってからのことを考えて電車に乗っていた。

 

今日は宅急便が届く。
昨日受け取れなかったものの再配達。
家族が受け取れる時間にいることが多いので、あまり気にしたことがなかったが、
ひとりでいると宅急便の受け取りは非常に難しい問題だ。
19:00〜21:00の枠で再配達は大丈夫だったか?
20:00くらいに、そんなことを考えていた。

 

もう遅い気もするが、最短ルートのバスに乗ることにした。
最寄り駅より前の途中の駅で電車を降りて、バスに乗り換える。
雨が降っている。
バスに乗れば家の近くのバス停まで直行だ。
ちなみに通常のルートだと最寄り駅についてから徒歩20分なので、雨の場合は結構濡れてしまったりする。
ちょうどいい。

 

ところが、バス停にたどり着くと、ちょうどバスが行ってしまった後だった。
失敗した。
ぎりぎり間に合う想定だったが、ぎりぎり遅かった。

 

仕方がないので時間をつぶす。

家に帰っても食事が用意されているわけではないので、何か食べようか。
牛丼屋へ入り、牛丼と半熟玉子を注文した。
毎度のことだが、すぐでてくるのに感心する。
そして食べはじめた。

 

 


そこで、なぜかふと思い出した。
「のりちゃん」のことを。

 

台風がきていて、風が強かった。
朝は少し曇り気味だった。

窓際で「のりちゃん」は快適だっただろうか。


いや、そんなわけはない。

 

今日は間違いなく暑かった。

昼休み、職場の食堂の窓から見上げた空は青かった。

 

外は暑い。
エアコンをつけていない家の中も暑い。
その家の中の水槽。
窓際の水槽は!!!

 

突然、そんなことが頭の中をよぎった。

牛丼が喉を通らなくなった。
味がしなくなった。
まだ二口くらいしか食べてないのに。

バスの時間を確かめた。バスが来るまで10分くらい。
あまり時間がない。

とりあえず肉と米を口の中へ無理矢理、一気に放り込む。
味噌汁を飲み、心を落ち着けようとする。
落ち着かない。
いてもたってもいられない。
急いで食べ終えて、店をでた。

 

時間がないと思ったが、急いだのでバスが来るまで時間ができてしまった。
 

 

スマホで亀のことを調べる。
亀、特に子亀は熱中症で簡単に死ぬ。みたいなことが書いてある。

それはまずい。

 

お湯になった水槽の水を思い浮かべる。
日陰になるような場所(亀用の島の下)はあるが、水(お湯)に浸かる必要がある。
お湯から逃れるためには日の当たる島の上に登るしかない。
どっちも暑い。
これこそ地獄。

この夏の暑い日に「のりちゃん」は生き残れるだろうか?
厳しい…。


「のりちゃん」がいなくなったら、家族はどう思うか。
子供たちの悲しむ顔が浮かぶ。

 

正直、泣きそうになっていた。

 

 

バスがきて、バスで家の近くのバス停まで。
バスを降りたら、家まで全力で走った。

 

家に入り、まっすぐ水槽のある窓へ。

窓際の水槽を見た。
カーテンと窓ガラスの間の水槽。

 

カーテンをめくると、「のりちゃん」がこっちを見ていた。

ばたばた暴れだす。
ぐったりもしていない。

餌をあげた。

パクパク元気よく食べる。

 

こんなに嬉しいことはない。
これほどの安堵を味わったことはないかもしれない。

そんな気がした。

 

昼間の様子はわからないけれど、思ってたより暑くならなかったのか?

少なくとも耐えられないほどの状況ではなかったということだろう。

 

結果的に何も不幸なことは起こっていなかった。
ただひとりで勝手に不安になっていただけだった。

 

何も起こっていないけれど、ほんとうによかった。

これまでもかわいがってはいたが、これからはもうちょっと亀の側に立って考えていこうと思った。

少し優しくなれた気がした。


 

宅急便が届く。
無事受け取ることができた。
よかった。

宅急便の箱の中身は梨だった。
家の一番涼しい部屋へ梨の入った箱を運んだ。

 

 

関連する記事
コメント
コメントする
トラックバック
この記事のトラックバックURL