いっぱい転ぶと、上手になる

2014.02.20 Thursday




左手首がちょっと痛い。

理由はわかっている。
アイススケートだ。

2週連続の雪かきの影響による、じわじわきた体の痛みが治まって、最後に残ったのは、アイススケートで転んだ時についた手の痛みだった。


先週の日曜のこと。
嫁は仕事へ行ってしまったので、娘と息子とおばあちゃんと過ごしていたが、どこかへ遊びに行こうという話になった。

娘には以前からひとつやりたいことがあった。
アイススケートだ。

オリンピックでフィギュアスケートを見て、あれをやりたいと思ったらしい。
最近よく床の上でジャンプしたりクルクル回ったりしている。


実は近くのショッピングセンターに期間限定で仮設のスケートリンクができていた。

子供のスケート初体験にはちょうどいい。と思えたが、そこには4歳からとの制限がある。
残念ながら娘はまだ3歳ということで、諦めていた。
が、先日、誕生日を迎え、晴れて4歳になったので、行くタイミングを伺っていたところだった。

その日は天気も良かったので、行ってみることにした。

滑るための費用は、大人と子供のペア入場料が600円、貸靴400円、手袋100円。
手袋代は自分で用意すればかからないけど、それでも600+400×2で、1400円。
平日だと時間制限は無いが、休日は30分の制限あり。
高い気もするが、貴重な体験だ。仕方ない。

代金を払い、靴を選び、娘はヘルメットを被り、膝と肘にプロテクターをつけ、万全の体制。
クルクル回る気満々で臨んだ、娘にって初のアイススケート。
娘のテンションも最高潮。


そして、スケートリンクに一歩足を踏み入れた途端、娘の笑顔は消えた。
というか、号泣。

当然ながらスケートリンクは滑る。
立っていることさえままならない。
ただその場でジタバタして泣く。

一周数十メートルあるスケートリンクの端の柵を伝いながら進む。
これが難しい。

父親の僕も、想像していた以上に滑ることに驚き、娘のフォローどころじゃない。
僕はアイススケート初体験というわけではないのだが、おそらく前に滑ったのは20年前くらい。
上手くはなかったが、それなりに滑れた記憶はあるし、進むくらいはできるはず。
と思っていたが、全然滑れない。
いや、滑るんだ。ただただ滑る。思ったより滑る。

端の柵を伝いながらでもなかなか進めない。
これは恥ずかしい。
娘の手前、というか周りの目も気になる。
とりあえず転ばぬよう、娘のフォローするふりをしつつ、柵を掴んで恐る恐る進む。


娘は号泣しながらほとんど動けない。
後ろから、娘ほどではないが、柵を掴まないと進めない子供たちがどんどん迫ってきて、僕らを先頭に詰まってくる。
みんな勇気を振り絞って手を離し、僕ら親子を抜かしていく。


とはいえ、僕も大人だ。学習能力はある。
周りを見てなんとなく滑り方はわかってきた。
しばらくしたら、とりあえずそれらしく滑れるようにはなった。

一回、バランスを崩し、しりもちをついたけど…。
で、その時、手もついてしまい、手首を痛めたっぽい。
まあ、僕の手首なんて、どうでもいいんだけど。

なんとか娘を導きながら、長時間かけてスケートリンクを一周をした後、娘はスケートリンクから出て、滑りたくないと言い出した。

これはまずい。
それなりにお金を払っていて、ほとんど滑らないんじゃあ、もったいない。
というのと、希望を胸に臨んだアイススケートが、ただの絶望的な体験になってしまうというのは、悲し過ぎる。
なんとか、もう一回チャレンジさせてみようとするも、怖がってスケートリンクに入ろうとしない娘。

そんな姿を見て、声をかけてくれたのはスタッフのお姉さんだった。
娘に、一緒に滑ろうと言ってくれた。
本当にありがたい。

娘は嫌々ながらもスタッフのお姉さんに連れられていく。
滑らない長靴を履いているお姉さんが娘の手をとって半周ほど一緒に進んでくれた。
娘は泣きそうになりながらも、お姉さんに甘えて掴まって足を動かし、滑った気になってる。
そして、お姉さんが娘に伝えたアドバイスが素晴らしかった。

「いっぱい転ぶと、上手になるんだよ〜。」と言ったのだ。

この言葉が、効果覿面。

娘はその気になった。
それからは転んでも頑張るようになった。
技術は上がっていないので、自分で立って滑るほどではないが、怖がらなくなった。

その頃には、僕も多少は安定して滑れるようになっていたので、後ろから支えて滑らせてあげられるようになった。
娘は自分で滑ってはいないのだが、滑れている気になって、ご機嫌に。
時折、転ぶのだが、「全然、痛くない!」と、言ってすぐ立ち上がる。

そして言う。
「お姉さんが言ってたもん。いっぱい転ぶと、上手になるって。」

これ、父親として本当に感動した。
言葉の力って凄い。

全然滑れてないのに、娘はニコニコなんだ。
実際は、まだ上手にはなっていない。最初の頃とできることは変わっていない。
それでも、この体験で娘は成長したと思う。

ちょっとした言葉で、怖いものが怖くなくなった。
絶望が希望に変わった。

失敗しても、それが成功に繋がるっていうこと。
そういうことを身をもって感じられたのだと思う。(実際には成功してないけど。)



子育てで考えていることがいくつかあるけれど、僕が親として教えられることなんて、あまり無いと思っている。

ただ、簡単に折れない心を持っていれば、不幸な道に転げ落ちずになんとか生きて行けるのではないか、
子供の中に、そんな心を育てられればベストだろうなと考えている。

そういう意味で、この体験は非常に価値があったと思う。
行ってよかった。
娘は、またスケートに行きたいと言う。全然滑れないのに。


あと、ソチ五輪のスケート競技について、今までより少し興味もって観れるようになったのもよかった。
関連する記事
コメント
コメントする
トラックバック
この記事のトラックバックURL